臼蓋形成不全 − 保存療法 〜リハビリテーションの重要性〜 

■はじめに…“保存療法”とは?
■医療業界における、哀しい“現実”
■進行性の“不治の病”
■この疾患を侮らないで!
■勇気を出して“手術”を決断することも、必要。
■リハビリに、“我流”は厳禁!
■ご安心を♪ リハビリは“特訓”にあらず!
■応急処置は、“冷やす”or“温める”?
■“ダイエット”にばかり目先を奪われないで!
■“杖”の使用について。
■“整体”“カイロプラクティック”など、民間の手技療法の選択は、慎重に!
■“薬”の処方は、根本的な解決に結び付きません!
■“サプリメント”の利用について。
■ご自身の納得できる診断を得られなかったかたへ…。





■はじめに…“保存療法”とは?


“保存療法”(ほぞんりょうほう)というのは、医療機関で行われる手術以外の治療法全般に対して使用される言葉で、その代表的な例は、医療従事者の指導のもとで行われる“リハビリテーション”(Rehabilitation)=“運動療法や物理療法”ですが、ほかに薬物の処方や装具治療なども、分類的には保存療法に属します。なお、ここでは舞姫の股関節の持病である“臼蓋形成不全”におけるリハビリを主に指すものとし、保存療法の重要性について綴っていきたいと思います。

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■医療業界における、哀しい“現実”


臼蓋形成不全のような“進行性”の股関節系の病気においては、最も重要な筈の“保存療法”ですが、本来であれば患者の症状の改善のために最善を尽くさなければならない医療従事者の方々のなかにすら、この病気に対する認識が甘く、“保存療法”の重要性を理解されていないかたが、意外と多く存在するようで、ネットで情報収集がてら患者さん達の体験談などに耳を傾けていると、ある種の哀しい“現実”が垣間見えてきます。

保存療法に消極的な医師の大半は、即効性に欠けるリハビリテーションを患者に勧めず、患者を運動から遠ざけて安静にさせることで、症状改善を導こうとします。そのため、この疾患における“リハビリ”の存在すら知らない患者さん達も多いのが現状なのですが、舞姫がネットを通じて知り合った、同じ病気を持つ患者さん達のなかには、自覚症状で明らかに日常生活にも支障をきたすほどの苦痛があるのにもかわらず、それらを訴えても「大袈裟なのでは?」と言われ医師からはリハビリの話すら出なかったという例や、「この病気にはリハビリなどは存在せず、鍛える方法がない」とまで医師に断言された例もあります。また、リハビリの重要性すら説かずに、苦痛→では手術しましょう…などと、じつに安易に手術を勧める医師も存在し、舞姫よりも症状の程度が軽い患者さんでも、手術を迫られたりする場合もあるそうです。人工股関節の置換手術を検討するほどの重症でありながらも、医師から保存療法の存在を知らされず、舞姫のサイトを訪ねてくださり、初めてこの病気におけるリハビリの存在を知って驚かれたというかたまで、います。

現状では、医療業界における保存療法の考え方もさまざまで、“即効性”に欠けモチベーションの維持が難しい割には設備面での出費なども大きく、実績や利益に結び付きにくいリハビリテーションには、消極的な病院も多く見受けられますし、そもそも「疾患のある箇所へ負担を掛けずに、筋トレやストレッチを行うなどと不可能」として、リハビリを全面否定する医師もいるそうです。また、症状の程度を問わず、リハビリの重要性を棚上げにして安易に手術を強要する医師が存在する背景には、整形外科における保存療法の分野が未だ発展途上にあってこれを不得手とする医療機関も多く、医師の研究成果を披露する舞台である学会においても、評価を得る対象は“手術療法”がメイン…などの事情もあるようです。こうした認識の甘さや、“保存療法”の重要性に対する欠落の背景には、耳慣れないマイナーな病気が故に、正確な知識や情報を得ることが難しいというのも、あるのでしょう。時折垣間見える哀しい現実には、舞姫も少々複雑な気持ちがあります。

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■進行性の“不治の病”

“臼蓋形成不全”は、進行性の“不治の病”です。この病気を宣告されたそのときから、リハビリは永遠に続くものと心得てください。保存療法に消極的な病院で診察を受けたりすると、手術の必要までに至らない軽症患者の場合、「無茶な運動は避けて安静にしていれば、そのうち“治る”」などと、あたかも自然治癒する病気と誤解されがちな診断で簡単に済ませてしまう医師もいるそうですが、風邪や捻挫のように、医療機関で薬をもらって休息を取れば“治る”という病気では、ないのです。“安静にする”という行為で、一時的に苦痛を和らげることは可能でも、そのことで足りない臼蓋の屋根が生えてくるわけでもなければ、関節の構造上の欠陥が自然治癒されて正常な形状に戻るわけでも、何でもないわけです。そのことを、よく認識してください。

確かに、股関節に掛かる負荷を抑えて安静にすれば、次第に炎症も鎮まり苦痛も緩和されることは間違いないですし、つらい症状のあるときに無理にリハビリやっても逆効果なので、状況に応じてゆっくり休息を取ることも必要です。ただ、運動を避けて“安静にする”という行為に依存し過ぎると、本来であれば股関節を衝撃から保護しその動作を助ける役割を果たす筈の筋力柔軟性が低下することで、拘縮による炎症や稼働域制限を誘発し、更に症状の進行を促すことになります。ですから、症状を改善しその進行を遅延させるための保存療法は必要不可欠なものであり、ある程度の域まで到達すれば、もうリハビリしなくても大丈夫ですよ…とか、そういうことではなく、リハビリからは半永久的に解放されないことを覚悟してください。

ただ、情報収集に努め正しい知識さえ身に付ければ、“不治の病”とはいえ、決して怖い病気ではないのです。ここで舞姫が最も訴えたいのは、この病気に関する正確な知識や情報を得たうえで、“不治の病”であること、“進行性”の病気であること、だからといって決して怖い病気ではないことを認識し、自身の症状と向き合い、“保存療法”の重要性を、ぜひ理解してほしいということです。

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■この疾患を侮らないで!

この疾患は医療機関によっても解釈が異なるため、なかには通院の指示もないまま、湿布剤や鎮痛剤を処方される程度で帰されてしまう患者さんもおられるかと思います。また、症状を軽視する医師の言葉を真に受けてしまった患者さんのなかには、さほど危機感を抱けないまま「ふ〜ん、たいした病気じゃないんだ」と思い込まれてしまうかたも少なくはないと思います。ただ、進行性の“不治の病”である事実には変わりはないのです。自覚症状で深刻な状況に至らずに楽観視したために、あとになって悪化を招いてしまった患者さん達の姿を、これまで自分はたくさん見てきました。情報収集に努め、正しい知識さえ身に付ければ、決して怖い病気ではないので、悲観的になる必要はありませんが、かと言ってこの疾患を侮らないでください。現時点で比較的に軽症で、自覚症状でそれほどつらい症状ではないという患者さん、せっかくこの段階で発見できたのですから、いまからしっかりとリハビリテーションを心掛け、症状改善に取り組まれることを希望します。差し当たって舞姫的には、保存療法の分野で優れた整形外科を探して訪ねられ、優秀な理学療法士さんからリハビリ指導を受けられることを、お勧めしたいと思います。

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■勇気を出して“手術”を決断することも、必要。


幸い、手術の必要までに至らず“保存療法”のみの道を選択した舞姫ですが、“手術療法”を否定的に捉えるわけでは決してありません。当然、患者の症状は個々で異なるわけで、本当に手術を要する場合も勿論あります。状況によっては、手術を渋って漠然と保存療法を続けることで、症状の進行を招く危険性もあり、ご自身の症状を冷静に受け止めたうえで、勇気を出して“手術”を決断することも、必要だと思います。

現在では、優れた術式もありますし、手術後ダンスやスポーツができるまでに回復されるかたもおられます。ただ、進行性の“不治の病”といわれる臼蓋形成不全や変形性股関節症などの股関節疾患の場合、あくまで手術療法というのは、骨の条件を良くすることで、苦痛の緩和や進行の遅延といった“症状改善”を図ることを目的として行われるものであって、“完治”を目指すものでは、ありません。

よって、“手術療法”か“保存療法”の、いずれかを選択するということではなく、手術の必要までに至らなかった患者さんは勿論、手術をされるにしても、強い身体を作って維持し続けるためのリハビリは必須です。手術をされた患者さんが、日常生活や社会生活への復帰を果たしたり、ダンスやスポーツの分野で活躍できるまでに至るのは、その患者さんが術前&術後に励まれたリハビリの成果であって、どんなに優れた術式であっても、リハビリなくして健康な身体を取り戻すなどと、有り得ません。なので、手術の必要性の有無を問わず、“保存療法”が必要不可欠であることを、充分に理解されてください。

なお、どんなに股関節治療において評価の高い病院であったとしても、リハビリの重要性について何ら説明もないままに、「すぐにでも手術を!」…と迫るような医師であれは、警戒したほうがよろしいでしょう。この病気のことを本当に理解している優秀な医師であるならば、手術を要する重症患者に対しても、いかに術前&術後のリハビリが大切であるかを、きちんと判るよう説明してくれる筈です。

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■リハビリに、“我流”は厳禁!

臼蓋形成不全に限らず、保存療法を必要とするいかなる疾患であっても、患者が独自の判断で自己流に行うことは禁物です。リハビリテーションに“我流”は厳禁なのです。本来、リハビリというものは“オーダーメイド”であるべき治療法です。患者それぞれの症状や身体能力・ライフスタイルなどは勿論、スポーツをされる患者さんは競技種目によっても、また手術を経験された患者さんは術式によっても、適するリハビリの内容は異なります。マニュアル式に同じ訓練をすれば、すべての患者さん達を改善へ導けるのなら、医師も理学療法士も苦労はしません。しかも、専門家による指導に頼らない独学には多くのデメリットがあり、本当に正しく理解できているかどうかの確認が困難なことは勿論、もし間違って解釈してしまった場合の自力による軌道修正も極めて困難です。リハビリは、専門的な知識や心得を持つ医療従事者の指導のもとで、適切に行うことが大切であり、患者が独自の判断でメディアなどで得られる情報を参考に自己流でリハビリを行うことは、場合によっては却って症状の悪化を促すことになりかねない、とても危険な行為なのです。

保存療法の必要性を重視するあまりに、過度なリハビリに依存してしまわれる患者さんも、おられるかと思いますが、この類のリハビリに“即効性”はなく、焦ってガンガン鍛えたところで、そんな直ぐ強い身体になれるわけではないことは勿論、患者の独断で勝手に運動量を増やすことにより、場合によっては症状の悪化を誘発する可能性もあるのです。大切なのは、即効的な効果を望まず、地道に続けることです。無論、体調の悪いときに無理に鍛えても逆効果なので、状況に応じて休息を取ることで炎症を鎮め疲れを癒し、体調を整えたうえでリハビリに取り組むことも大切です。


また、ご自身が独自に得た改善法や訓練法を、他の患者さん達にも勧めることは、ぜったいにしないでください。病院で指導を受けたものであっても、医療行為としてのリハビリテーションは、知識や心得の備わった医療従事者がその患者さんの症状や身体能力などを見極めたうえで指導するものであり、すべての患者さん達に必ずしも適合するものでは、ありません。医療機関に対して信頼を抱けなくなり、自身で収集した情報をもとに独学でリハビリを試みられるかたもおられると思います。その危険性を承知のうえであれば、我流でリハビリを行うことは個人の自由です。たぶん、そういった患者さん達のなかには、我流のリハビリで幾分は症状が改善されたかたも、おられるのでしょう。けど、自分と同じ“方程式”が他の患者さんにも、そっくりそのまま当てはまるとは限らないのです。その危険な道に、他の患者さん達まで誘導して巻き添えにしないでください。

このサイトでは舞姫も、筋トレやストレッチの方法など、リハビリの具体的な内容については、さほど詳しくは記していません。なぜなら、ここに掲載する治療法・対処法などは、あくまで舞姫自身の持つ症状に伴い、これまでのリハビリ通院で得た知識や情報にもとづいたものであって、必ずしもすべての患者さんに適合するとは限らないからです。状況によっては、舞姫自身が通院する整形外科で指導を受けたリハビリの内容について、「お気楽日記」“Twitter”で取り上げる場合もあるのですが、同じ訓練法を迂闊に真似しないでください。ここでの舞姫のお話は参考程度に留め、必ず医療機関で診察を受けたうえで、専門家による適切な指導のもとでリハビリに励まれることを、舞姫も希望します。

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■ご安心を♪ リハビリは“特訓”にあらず!

この病気が、進行性の“不治の病”であり、それ故にリハビリにも終わりがなく永遠に続くことは、既に記述させて頂いた通りですが、読まれたかた(特に、病名の宣告を受けて、まだ日が浅い患者さん等)は、かなり驚かれたのではないかと思います。ただ、どうか誤解されないでください。リハビリテーションは、過酷な“特訓”では、ないのです。あくまでリハビリというのは“治療”が目的なので、“スポ根アニメ”にありがちな、ボロボロになるまで心身を酷使するような“特訓”まがいのトレーニングをするわけではないですし、まるで武勇伝の如くの壮絶なリハビリ記録をこのサイトに掲載するつもりなど、舞姫自身にも毛頭ありません。

医療行為としてのリハビリは、疾患を持つ身体に掛かる負担を最小限に抑えつつ、症状の改善に必要な箇所のみ効率良く鍛えることに重点をおいた、いわば“ピンポイント”的なトレーニングが中心です。舞姫が通院する整形外科でも、患者に自宅でも積極的にリハビリに努めてもらうことを前提としているのでしょう、理学療法の先生達から指導される筋トレやストレッチも、その殆どがちょっとした場所&時間さえあれば手軽にできる程度のものばかりですし、スポーツされる習慣の有無を問わず、身体を動かすことが極端に嫌でない限りは、おそらく続けるのはさほど難しいことではないかと思います。ですから、リハビリ=過酷・つらい・暗い…などというネガティヴな先入観は一切抱かず、安心してリハビリ室の敷居をまたいでください。

ただ、“即効性”に欠ける故に、単調な動作の繰り返しに面白みを感じることができず、なかなか現れない効果にモチベーションを維持できないまま、挫折してしまう患者さんが多く存在することも事実ですが、リハビリに“王道”は、ありません。焦らず無理せず地道に続けた者のみが、リハビリにおける“勝ち組”となりうることも、既に記した通りです。

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■応急処置は、“冷やす”or“温める”?

臼蓋形成不全のような関節疾患の場合、稼動域低下による運動制限のため、股関節周囲の筋肉群も拘縮(こうしゅく:硬くなって縮んで動きにくくなること)を引き起こしやすいことが特徴で、このため日常生活においては、身体を極力冷やさないよう心掛けることが重要。股関節を寒さから守り、暖かく過ごすことで、血液の循環を良くし、苦痛の緩和を図ることが可能です。特に、冬などの寒い季節は、毛糸のパンツを履いたり、疼痛のあるときはズボンのポケットに使い捨てカイロを忍ばせるなど、いろいろと防寒対策を工夫されることを、お勧めします。

ただ、この疾患の場合は股関節を衝撃から守ってその動作を助ける役割を果たす筋肉群の筋力や柔軟性の不足から、些細な動作でも傷めやすいのも特徴なのですが、突発的なアクシデントで股関節あるいは周囲の筋肉を傷めてしまった際、心得ておきたいのが、スポーツ医療ではお馴染みの“アイシング”(Icing)。これは、“RICE”(←「ニチバン株式会社」より)と呼ばれる応急処置の一種で、負傷箇所を局所的に冷却することで、炎症を鎮めて苦痛を軽減させることが可能です。氷をビニール袋などに入れたものを痛む箇所に当てて冷やすという方法が最も一般的ですが、スーパーやデパ地下の生鮮食品売場などで貰える保冷剤を活用するのも、いいと思います。氷にしても保冷剤にしても、肌に直接当てると冷えすぎて凍傷になってしまうので、タオルなどに包んで利用されてください。ちなみに、コールドスプレーや湿布剤などは、「冷たく感じる」というだけで、実際に患部を冷却する効果はそれほど高くはないので、アイシングが目的であれば、やはり氷や保冷剤など「本当に冷たい」ものを使用されるのが最も望ましいと思います。

なお、運動時の応急処置として知られるアイシングですが、効果が期待できるのは負傷した直後のみです。たとえば、しばらく時間が経ってから、忘れた頃に患部を冷却してしまうと、却って筋肉拘縮を誘発し、症状悪化を促す危険性もあるので、くれぐれも注意してください。もし、いつの間にか痛くなっていて、その要因や経緯などが判らない状況であれば、むやみにアイシングを試みることは勧めません。また、患部を冷やしたほうが良い場合と、逆に温熱療法のほうが良い場合、あるいはその双方を併用したほうが効果的な場合など、そのときの症状によって処置の方法も異なり、その判断は素人ではなかなか難しいので、どうしたらいいか判らないという場合は、迂闊に自己流の処置を行うことは極力避け、医療従事者からアドバイスを受けるようにしましょう。

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■“ダイエット”にばかり目先を奪われないで!

この病気における改善策として、医師から“ダイエット”を勧められる患者さんも、多くおられるのではないかと思います。人間の体重を支え、その動作に伴う衝撃を受け止める役割を果たす“荷重関節”である股関節や膝関節には、常に膨大な負荷が掛けられており、このため股関節や膝関節に障害のあるかたの場合、ダイエットなどを行い体重をコントロールすることによって、関節に掛かる負荷を軽減し、苦痛の緩和や進行の遅延を図ることが可能です。ただ、このダイエットにはその方法を一歩間違えれば、症状改善どころか却って悪化させる事態も招きかねない、危険な“落とし穴”が潜んでいます。

リハビリテーションに消極的な病院の場合、やはり患者に安静を強いることで症状改善を導こうとする傾向が強く、このため関節への負担の軽減を目的とする“運動の抑制”と“ダイエット”の2本柱が、症状改善のための方策として多くの医師から勧められることとなるわけですが、上半身と下半身とを連結させる“中継地点”となる股関節には、その双方を繋ぐためのさまざまな種類の筋肉が密集し複雑に絡み合っており、これら股関節周囲の筋肉群は、本来であれば股関節を衝撃から保護しその機能を補助するという重要な役割を担うため、運動を抑えてダイエットを行えば、症状改善のために必要な筋肉群の筋力柔軟性も、確実に低下していくことになります。

勿論、ダイエットそのものを否定するわけではないのですが、健康な身体を維持しつつ無駄なウエイトを落としていく心掛けは重要なわけで、これに気付かぬまま、ただ単純に体重を落とせば苦痛を緩和できるものと思い込んで、ダイエットにばかり目先を奪われてしまうことは、症状改善に必要な筋力や柔軟性はもとより、即効性に欠けるリハビリを地道に続けていくために必要な集中力持久力なども低下させることになりかねない、とても危険な行為なのです。普段、スポーツなどをされる習慣のない患者さんの場合は、より一層このダイエットの危険な落とし穴に陥りやすいので、充分に気をつけてください。

情報収集がてらネットの世界を彷徨っていると、リハビリの重要性に気付かぬまま(あるいは、この病気におけるリハビリの存在すら知らないまま)、ダイエットを主軸にした改善策に安易に走られる患者さん達を、あまりにも多くお見受けしますが、くれぐれも我流で過激なダイエットを試みることだけは絶対にせず、主治医の先生や理学療法士さんにもよく相談され、適切なアドバイスを頂いたうえで、栄養のバランスの取れた食生活を心掛けて、リハビリを続けていくために必要な体力&精神力の維持に努めてください。なお蛇足ですが、リハビリの重要性を棚上げにして、むやみにダイエットばかり強要する医師であれば、警戒されたほうがよろしいかもしれません。

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■“杖”の使用について。

幸い舞姫は“杖”を使用するほど深刻な症状ではないため、さほど詳しい知識がないのですが、杖にも身体の負担を軽減し少しでも快適に歩行をするための“正しい使用法”というのがあるのだそうで、医療機関に通院することのないまま杖に頼って歩行をする人達のなかには、この正しい使用法に関する知識を得る機会がないばかりに、我流で間違った使い方をされるかたも意外と多く存在し、上半身に余計な負荷が及ぶことで腕や肩・腰などを傷めてしまったり、疾患のある脚の症状も却って悪化させてしまう人もいるときいています。

なお、杖に関する解釈は医師によっても異なり、「上肢に掛かる負荷が大きく、身体のバランスが偏ってしまう」「なにより“杖を使って歩く”という行為によって生じる精神的ダメージは、症状改善のためには却ってマイナス」などの理由から、あまり杖の使用を勧めない医師も存在するそうです。舞姫自身も、可能であればリハビリで正しい姿勢や所作・歩行法などを身に付け、杖に頼らずとも歩ける健全な身体作りを目指すことが最も望ましいかと思うのですが、無論つらい症状があれば杖の使用もやむを得ないでしょう。ただし、杖は正しい使用法の習得が大切なのは勿論、杖を選択する段階で適する長さや型などが、患者の症状や身体能力に伴い微妙に異なるので、杖を使用される際は、専門の知識を持つ医療従事者に相談のうえで慎重に検討されることを、ぜひ舞姫もお勧めしたいと思います。

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■“整体”“カイロプラクティック”など、民間の手技療法の選択は、慎重に!


臼蓋形成不全や変形性股関節症などの股関節系の病気においては、なにかとタブー視される場合の多い、“整体治療”“カイロプラクティック” (Chiropractic)などの、民間の手技治療ですが、舞姫は一概に否定はしません(実際に舞姫も、この股関節疾患が発覚する以前までは、長年通い続ける整体治療院がありました)。公的医療の世界で行われる治療法と、整体・カイロなど民間療法には、それぞれメリットとデメリットがあるので、可能であれば状況に応じて双方をうまく併用されることを、舞姫としてはお勧めします。

ただ、この病気の場合、その元凶は股関節の物理的な構造上の欠陥にあるので、これを民間の手技療法で治すことは不可能です。施術で身体全体のコンディションを整え、筋肉の緊張をほぐすことで、疲労も回復し疼痛も鎮まることは確かですが、整体やカイロなどの手技療法で出来るのは、ここまでです。どんなに優秀な整体士やカイロプラクターであっても、完治は不可。あくまで可能なのは一時的な症状の緩和に過ぎず、その元凶の根本を叩かなければ、本当の意味での症状の改善には結び付きませんし、本当に優秀な技術を持つ整体士やカイロプラクターであるのなら、みずからがそのことをよく承知している筈です。

公的な医療機関とは違って、資格制度も確立されておらず法的にもあいまいな部分も多い民間療法の場合、迂闊に信用すべきではない危険な情報も数多く氾濫しています。少なくとも、病院などの医療機関で行われる診断や治療法を真っ向から否定し、「手術やリハビリなどしなくとも、当治療院で施術を受けて頂ければ、必ず治ります!」などと高らかに謳うような治療院は、避けたほうがよろしいですし、医師から納得のできる診断を得られなかった、あるいは手術やリハビリをするのはイヤだから…という動機で、安易に民間の手技療法に走るのは、とても危険な行為なので、ぜったいにやめましょう。

また、ご自身の信頼できる治療院に運よく巡り会えたとしても、施術を受けられる前に必ず、病名や症状・医師からの指示など、治療院の先生に可能な限り詳しくお話しされてください。ネットで情報を探ってみると、患者さんが臼蓋形成不全であることを知らずに、股関節を力任せに捻り上げて、却って症状を悪化させてしまったという怖い例も耳にします。確かな技術を持つ優秀な先生であれば、その疾患をふまえたうえで、症状に適合した施術を手掛けてくださる筈なので、病名を申告し現状を説明することを、事前に忘れずに行なってください。最も重要なのは、ご自身が心から信頼できる病院&治療院の双方に巡り会えたうえで、その双方をうまく併用されていくことだと思います。

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■“薬”の処方は、根本的な解決に結び付きません!

運動療法を中心とするリハビリテーションと同様、分類的には“保存療法”に属する薬剤の類による治療ですが、病院で診察の際に、鎮痛剤や湿布剤などの処方を受けられる患者さんも、多くいらっしゃるのではないかと思います。ただ、整体やカイロなどの民間の手技療法と同様に、こういった薬剤を使用する治療にも、充分な注意が必要です。

確かに、つらい症状のあるときに無理にリハビリやっても逆効果ですし、状況によっては病院で薬の処方を受けたうえで、ゆっくり休息を取って疲れや炎症を鎮めることが必要な場合もあるので、舞姫も薬を利用することに関しては一概に否定するわけでは、ありません。ただ、骨格そのものの形状の欠陥が大きな要因であるこの病気の場合、痛み止めの注射や、湿布剤・内服薬など、医療機関での薬剤の処方の目的は、一時的な苦痛の緩和でしか過ぎず、症状改善に直接的な効果をもたらすものでは決してないことは勿論、慢性化する恐れもあり、原則的に常用すべきではないと舞姫は解釈しています。

特に鎮痛剤や筋弛緩剤といった内服薬などは刺激もとても強く、また手軽に使ってしまいがちな湿布剤などの貼り薬も、お肌の弱いかたにとっては“かぶれ”や“肌荒れ”などのトラブルを引き起こす要因となります。なお、消炎剤などの成分が含まれる湿布剤の場合、内臓疾患にも悪影響を及ぼしたり、貼った箇所の筋肉が痩せてしまったりなどの副作用もあるようです。無論、耐え難い症状のある場合は、薬の使用も致し方ないかとは思いますが、特に他にも持病のある患者さんの場合、医師や薬剤師とよく相談されたうえで処方を受けられることを、お勧めします。ただし、“薬”の処方が根本的な解決に結び付かないこと、常用すれば慢性化や副作用の危険性もあることを、どうか理解されてください。

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■“サプリメント”の利用について。

メディアを使った派手な広告展開などで広く知られる“関節痛に効く”とされるサプリメントですが、効果を信じて愛用される患者さん達も多くおられることと思います。ただ、これらのサプリメントについては現在に至るまで“科学的な根拠”の証明には至っていません。

グルコサミンコンドロイチンなどの成分は、サプリとして食しても体内で単なる“アミノ酸”に変化してしまうため、関節痛の軽減軟骨再生等の効果は期待できず、多くの医療者さん達は否定的なのが現状です。身体に刺激の強い添加物化学物質などを含むサプリも多いですし、医療機関で処方される薬剤との相互作用(お薬同志の悪い飲み合わせ)的に悪影響を及ぼす危険性もあります。また、カニやエビなどの甲殻類の成分を使った商品も出回っており、食物アレルギーを持つ患者さんには却って危険を伴います。

近年では、サプリメントの効用についても興味を示す医療者さん達や研究者さん達も少しずつですが増えてきており、“サプリメント外来”を設ける医療機関などでは、関節痛を訴える患者さん達に自由診療の範囲で勧める医師も存在すると聞きます。将来的に研究が進んで学会などで発表され、その効果が広く認められれば、多くの医療機関で健康保険が適用される“薬剤”として“関節痛に効く”サプリが処方される日も、いずれ訪れるかもしれません。

ただ、医療の世界でも研究を進める向きはあるとはいえ、科学的な根拠は未だ証明されておらず、実用的な段階には至っていないのが現状で、デメリットの高さを考慮しても、舞姫的には多くの医療機関で認められて“治療”として取り入れられるときが来るまでは、これらのサプリメントについては素人判断で迂闊に利用されることは避けたほうがよろしいかと思います。

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■ご自身の納得できる診断を得られなかったかたへ…。


この舞姫のサイトを訪ねてくださった、同じ股関節系の病気を持つ患者さんのなかで、保存療法に消極的もしくは否定的な病院で診察を受け、ご自身の納得できる診断を医師から得られなかったかた、即効性に欠けるリハビリに努めることよりも“安静に過ごす”ことばかりを強調して指示されたかた、あるいはリハビリの説明もないまま唐突に手術を勧められたかた、またダンサーさんやアスリートさんで、運動に関する知識や理解などに欠ける病院で診察を受けられて、競技生活から退くことを医師から強要されたかた、どうか諦めないで、他の医療機関も受診されることを、お勧めします。

なお、「病院なんて、どこへ行っても同じ」「リハビリなど、やっても無駄」「どうせ『スポーツなんか、辞めなさい』なんて言われるから」…と端から決め付け、医療機関での診察を拒否し、日常生活や社会生活あるいは競技生活を、苦痛を堪えて騙し騙し続行されているかたもおられると思いますが、舞姫としてはお勧めできません。諦めずに、ご自身が信頼できる病院に巡り会えるまで、根気強く探されてください。

無論、患者それぞれで症状やそれに伴う診断も異なりますし、スポーツ分野での知識が豊富な病院や、保存療法に積極的な病院を受診したからといって、必ずしも事態が好転するとは限らないことは確かです。ただ、解決策を見出せないまま如何わしい民間療法に手を染めた挙句に、取り返しのつかない事態に陥るよりは、まだマシです。諦めない気持ちさえあれば、必ず道は開けます。みなさんが心から信頼できる病院に巡り会えますことを、舞姫も祈りたいと思います。(-人-)

《2013年6月22日:追記》
上記の通り、この項目では訪ねた医療機関で納得のいく対応をしてもらえなかった場合についての対策を綴ってきたのですが、舞姫自身も「諦めずに根気強く探して」と訴え続けてきたものの、ジプシーの如く延々と“ドクターショッピング”を繰り返すことは決して感心できないですし、この項目も執筆から数年を経て、舞姫の解釈も徐々に変わりつつあります。

そこで、舞姫と同じ股関節系の病気を持つ患者さん達が、本当に“信頼できる医療機関”と出会うためには、どうしたらいいのか?…みたいなことを、改めて整理してみることにしました。筆まめな故、とんでもなく長くなってしまったので(汗)、新たにページを作って設置しています。よろしければ、お立ち寄りください。→ 《信頼できる医療機関と出会うために》

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“臼蓋形成不全”とは?   発覚までの経緯   舞姫の3つの“分岐点”

   股関節の機能&重要な筋肉   信頼できる医療機関と出会うために

股関節リンクのページ    『お気楽日記』
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