思い出ドキュメント … 当時の「お気楽日記」より転載
塚田ジャズバレエ・ワークスタジオ発表会 『goose bumps - まよい犬2005』 @2005年8月7日(日)


★05年8月7日(日) 『goose bumps』本番!

舞姫の通うジャズダンススタジオ「塚田ワークスタジオ」発表会『goose bumps − まよい犬2005』も、ついに本番の日を迎えました。普段、朝食をとる習慣のない舞姫ですが、この日は少し早めに家を出て、某ファーストフード店にて、しっかり朝食をとってから会場入りしました。

午前中は、前日のゲネプロにて、会場の撤収時間に間に合わせるために仕方なくカットになってしまったメイン作「まよい犬」と、同じく前日のゲネプロにて問題が多数発見されたバラードクラスの作品の、最終的な稽古が舞台を使って行われました。以前、この日記のなかでもお話した「まよい犬」のなかで重要なアイテムとして使用する、切り刻んでぼろぼろ状態に加工した黒いTシャツ、これを作品の最後で私達は脱いで空高く放り投げることになっています。スタジオでの稽古の際は、天井に引っかかって取れなくなってしまうことを恐れて、少々加減気味で投げていたのですが、幸いこの“ちえりあホール”の舞台は、とても天井が高く、間違っても照明バトンに引っ掛かって取れなくなってしまうような事態にはならないということで、加減をせず思いっ切り放り投げよう…という話になりました。ただし、この後フィナーレに移行する際に、いちど緞帳を降ろすので、投げたシャツがくれぐれも緞帳ラインより外側に落ちるようなことにはならないように…という指示を受けました。

その後、楽屋に戻った私達は、昼の部の開演に備えて準備に入りました。舞台メイクを施し、舞姫の必須アイテムである“つけまつげ”を目蓋に乗せ、衣装を着替えやすいように上演順に並べ、ストレッチをして身体をほぐします。開場時間となり、客入れが始まります。楽屋に設置されるモニターを通して、客席が少しずつ埋まっていく様子が伺えます。私達も衣装に着替え、オープニングに備えて舞台袖で待機します。やがて開演の時間となり、緞帳が上がっていきます。緊張の瞬間です。

緊張のうちに、どうにか昼の部を終え楽屋に戻ると「まよい犬」のラストで私達が放り投げて舞台上にばらまいた黒いTシャツが回収され、楽屋の片隅に山積みになっておりました。切り刻んでぼろぼろ状態の黒いTシャツが積んである様子は、まさにコンブワカメのようです。これから夕方の部に備えて、レギュラークラスのみんなで、この山積み状態のTシャツのなかから、自分の物を探すわけです。よってたかって皆で自分のTシャツを探す様子は、まるで“ワカメ漁”のようです。(爆)

夕方の部までの間、楽屋で食事をし休息を取り、他クラスの楽屋へ遊びに行ったりして、しばし憩いました。やがて夕方の部も開演の時間を迎えます。緊張で何がなんだか判らぬままに終わってしまった昼の部に比べ、気持ち的にも若干余裕が出てきたのて、自分の出番の合間を縫って、なるべく舞台袖で他クラスの作品を鑑賞して楽しみました。「まよい犬」のラスト場面、天井の高い照明バトンに届けと祈りを込めて、思いっ切り黒いTシャツを放り投げました。気持ちよかったです。♪

さて、終演後は楽屋に戻って、後片付けです。これが無精者の舞姫にとっては、ものすごい面倒くさい作業なのですが、まぁ致し方ありません。まず舞台メイクを落とします。やはり面倒くさかったのか、落とさず舞台メイクのままで打ち上げ会場へ向かった者も数人いたようですが、さすがに舞姫は少々抵抗があったので、手早く落として“すっぴん顔”に戻しました。その後、衣装や稽古着をたたんでバッグに詰め、観に来てくれた友達や知人から頂いた有り難い差し入れの数々も、ぎゅうぎゅう詰め状態にして無理やりバッグの中に押し込み、打ち上げ会場へと向かいました。打ち上げの席では、この「まよい犬」の、○○年前の初演時のエピソードの数々を聞かせて頂く機会があり、楽しい時間を過ごしました。

舞台とは、ある意味ほんとうに儚いものです。この春より懸命に稽古を積んできた私達ですが、本番の舞台は一瞬のうちにして終わってしまいます。なんとも淋しいものです。この発表会終了後、ウチのスタジオでは、そのまま夏休みに突入し、しばらくレッスンはお休みになります。ゆっくり休んで疲れを癒し、また次のステップに向けて精進したいと思います。♪


★05年8月6日(土) ゲネプロ。♪

発表会の本番も、明日に迫りました。きょうは、会場である“ちえりあホール”に出演者・スタッフ共に入り、ゲネプロが行われました。

“ゲネプロ”というのは、ゲネラールプローベ(Generalprobe:独語)の略で、本番と同じ舞台を使用し、舞台進行・照明・音響など本番と同様にし、出演者も本番と同じように衣装を身に着け舞台メイクを施し、客席にお客さまがいるものと想定し、すべて本番とまったく同じ条件で通し稽古を行うことをいいます。“ランスルー”(Run through)とも呼びます。こちらは、舞台進行を途中で止めずに最初から最後まで通し稽古をする、という意味の用語で“ゲネプロ”と同様の意味合いで、ウチのスタジオでは頻繁に使われる言葉です。いずれにしても、本番と同じ舞台を使って稽古ができるのは、きょうの“ゲネプロ”が最初で最後の機会となります。

複数作品に出演するダンサーは、このゲネプロを行うなかで衣装の着替えのタイミングなども、つかんでいきます。自分の出番が終わってから、いちど楽屋に戻って着替えをしていたのでは、次の出番までに間に合わないという者のために、今回は舞台袖に小さなパティションが用意されました。出番が時間的に詰まっている者は、ここで素早く着替えを済ませ、次の出番に備えます。

楽屋入りすると程なく、先日総見の際にも行った“場当たり”を、この舞台でも行い、位置関係や移動経路、出捌けなどを再確認しました。場当たり終了後、いよいよゲネプロに入りました。ウチのスタジオの発表会では、昼の部or夕方の部いずれにしか出演しないクラスも少々ある関係上、ゲネプロを2回行います。舞姫のように昼&夕方、双方に出演する者にとって、ゲネを2回できるというのは、とても有り難いことです。♪

舞台作品というものは、実際に舞台の板の上に乗せてみないことには判らないことが、意外とたくさんあるものです。スタジオでの稽古では、なんら問題なかったような箇所でも、実際に舞台上でやってみると、いろいろと不都合な問題が数多く発生します。当然、舞台進行は思うように捗らず、当初予定していた時間通りには、なかなか進まない事態が起きてきます。1回目のゲネが終了した時点で、かなり時間的に押してしまい、休憩もそこそこに2回目のゲネが開始されましたが、やはり時間は無情にも刻々と過ぎていきました。

舞台進行も、いよいよ終盤に差し掛かり、今回の舞台のトリを飾る「まよい犬」の上演が近づき、舞姫たちレギュラークラスのメンバーも衣装に着替え、振付の確認などしながら出番が訪れるのを待機していたところ、なんと「まよい犬」をカットして、すぐにフィナーレの稽古に入る、との一報が飛び込んできました。厄介なことに、この“ちえりあホール”は午後10時迄に完全撤収しなければならない決まりになっているそうで、もう既に時間的にいいだけ押して、ただでさえ2度目のゲネが開始された時点で、かなり遅い時間に差し掛かっていたというのに、このうえ「まよい犬」は上演時間18分以上にも及ぶ大作。これを予定通り行っていたのでは、10時迄の完全撤収に間に合わない…という判断に至り、2回目のゲネプロでは致し方なく、この「まよい犬」をカットすることになったというわけです。出番に備えて気持ちを整え、モチベーションを維持してきただけあって、一気に骨抜き状態と化して、そのままフィナーレへ突入。うっ…残念。フィナーレ終了後、急いで楽屋に戻り帰る仕度をし、時間がないので化粧を落とす余裕もなく、舞台メイクのまま地下鉄に乗って帰宅しました。(=_=)

さて、きょう2回目のゲネプロで残念ながらカットになってしまった「まよい犬」については、明日の朝一で舞台を使って稽古をさせて頂けることになりました。そのぶん明日レギュラークラスでは、他のクラスよりも集合時間が早くなりましたが、まぁ仕方がないです。明朝、舞台上で最終的なチェックを行い、少しでも良い状態で本番に臨みたいと思います。♪


★『まよい犬』今昔物語。♪(※05年12月7日(水)付「お気楽日記」より転載)

ジャズのスタジオのH先生は最近、自分が過去に出演した作品のビデオを鑑賞するのがマイブームだそうです。H先生のような超ベテランともなると、これまで出演してきた作品も、かなりの数に及ぶので、仮に1日1本の割合で観たとしても、ぜんぶ観終えるには、そうとうな日数が掛かる筈…。

過去の作品の映像というのは、確かにその時の「瞬間」が詰まっているもので、H先生も、かつての自分自身やチームメイト達の姿、そして当時の演出・振付・構成等さまざまなことから、そのときのことを懐かしく思い出したり、あるいは逆に新鮮な刺激を受けたりすることもあるのだそうです。♪

H先生に触発されたわけでもないのですが、この舞姫も時折ふと、自分が過去に出演した作品を、埃を叩いて出してきて観ることがあります。そしてきょう、舞姫がビデオにセットしたのは、まだ記憶に新しい今年の夏の発表会『まよい犬』。そう、19年前に既に上演済だった作品の、再演でした。

稽古当時は、ネタばれになっても少々まずいと思い、ストーリーや設定等については、あまり詳細はお話できませんでしたが、舞姫なりの解釈を若干加えたうえで、ちょっと説明します。主人公の「犬」“純真無垢”の象徴のような存在です。そして「犬」以外のダンサー達は皆、現実世界に存在する“怒り”“悲しみ”“災い”“邪悪なもの”…等の化身です。稽古当時、この日記のなかで、切込みを入れてぼろぼろ状態にした黒いTシャツのお話をしたことを、ご記憶のかたもいらっしゃると思いますが、これは「犬」以外のダンサー達が“汚れ(けがれ)”の象徴として身に付けているものです。そして「犬」以外のダンサー達も、かつては皆「犬」同様に純粋な心を持っていたのですが、現実世界に棲み続けるうちに、その純粋で素直な心を忘れてしまった、あるいは忘れたわけではないのだけど、もう自分がその当時の純粋な心を取り戻すことはできないと悟ってしまっているというわけです。

現実世界に迷い込み、翻弄されながらも素直な心を失なわんとして懸命に保ち続ける「犬」の純真無垢な姿に、ある種の嫉妬心を抱いた現実世界のダンサー達は「犬」の周囲を取り囲み、捕えてもみくちゃにした挙句、己の身体にまとう“汚れ(けがれ)”を、無理矢理「犬」の身体にも、なずり付けていくわけです。“汚れ”に身体を縛られてしまった「犬」は、自分を失いかけますが、苦悩の末に、やがて自分自身の力で“汚れ”を脱ぎ捨て、その呪縛を解きます。そして現実世界のダンサー達も、その姿に触発されるように、自分の身体にまとう“汚れ”を、みずからの意志で次々と脱いでいくわけです。そして最後の場面に全員で“汚れ”の象徴である黒いTシャツを空高く放り投げ、物語は終わりを告げます。現実世界の様々な“汚れ”に縛られ苦悩しながらも、その純粋な気持ちを失わず、現実世界と素直に向き合い、その呪縛から解放できるのは、結局は自分自身の持つ力なわけです。

涙腺のゆるい舞姫が、稽古のたびにいつも瞳を潤ませていたのは、この「犬」が“汚れ”の呪縛を解く場面でした。ちなみに「犬」を演じたのはG先生。舞姫は現実世界のダンサーのうちのひとりで“いい加減でちゃらんぽらんな気持ち”の象徴でした。そのビデオのなかには、作品の終盤で“汚れ”の象徴である黒いTシャツを脱ぐことを最後まで躊躇した挙句、チームメイト達のなかで、いちばん最後に脱ぐ舞姫の姿が映っていました。自分自身の気持ちの中に、まだ迷いや戸惑いがあったからです。まだ自分には、このTシャツを脱ぐ資格がないような気がして、ならなかったのです。けど、最後までねばった末、ついに舞姫はTシャツを脱ぎ、チームメイト達と共に、そのTシャツを空高く放り投げました。いつかきっと、ほんとうにこの“汚れ”を自信を持って脱ぎ捨てることのできるときが来ることを願って…。

この『まよい犬』の再演が決まったとき、19年前の初演時の映像を、ぜひ観たい…と、先生達にお願いしてみたのですが、変に先入観与えてしまい私達の役作りに影響を及ぼしてもまずいので…ということで、結局観せて頂けませんでした。きっと私達に、再演ということにこだわらず、新鮮な気持ちで作品に取り組んでほしかったのでしょう。もっとも、19年前の初演時にも既に出演していたH先生やK先生にしてみれば、若い頃の自分の姿を私達に観られたくなかったというのも、あったようなのですが…(爆)。ちなみに初演時の様子は、写真だけならスタジオの旧サイトで確認できます。→こちら。♪





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